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日本ソフトウェア科学会第40回大会に協賛・参加しました

西山 雄大
エンジニア

はじめに

日本ソフトウェア科学会第40回大会が9月12日から14日の期間、東京大学本郷キャンパスとオンラインにてハイブリッド開催されました。株式会社Helpfeelからは協賛スポンサーの招待枠およびブース担当として、ソフトウェアエンジニアの西山を含む計4人のメンバーが参加しました。
日本ソフトウェア科学会は計算機ソフトウェアにかかわる科学・技術の振興と普及を目的とする学会で、1983年の設立から今年で40周年を迎えます。このことを記念して今大会は学生の参加費が無料となっており、運営委員会の発表によれば参加者の6割超が学生だったとのことです。
株式会社Helpfeelは大規模言語モデルのソフトウェアへの応用など、最先端の研究成果へのキャッチアップとプロダクト開発での応用に力を入れています。会期中には研究者のみならず、学生や企業の方とも交流・議論することができました。

会場となった東京大学・本郷キャンパスの工学部2号館から見える安田講堂

研究会のテーマ

研究会では、ソフトウェアに関連するあらゆるトピックが取り扱われます。そのなかでも日本ソフトウェア科学会らしいと感じられたテーマを、いくつか取り上げて紹介します。

ソフトウェア工学

日常生活やプログラミングを支援するアプリケーションの実装が、主に学生から提案されていました。それに対し、企業や研究所からはシステム業務そのものを効率化する手法が提案されていたのが印象的でした。GPTなどの言語モデルも、それら書類の理解や生成という観点から検討されていたのが興味深い点でした。

プログラミング言語処理系

プログラミング言語そのものに関する研究も、本学会における主要な関心対象です。効率的で安全な動作の実現に重要な検証と呼ばれるプロセスや、スクリプトを解釈するプログラミング処理系の研究が多く発表されていました。また、正規表現に代表される形式言語についても歴史的文脈をもつ研究が続けられているようでした。

圏論とその応用

証明支援系や関数型プログラミングなどは、工学というよりむしろ数学に近い研究領域です。今回とくに目新しかったのは、圏論とその応用に関するセッションが設けられていたことでした。プログラムとして実現可能になるよう、数学の理論的枠組みを検討していく過程にわくわくしました。

印象的なプレゼンテーション

大会では一般発表に加え、基調講演や受賞講演、若手研究者による講演などが行われました。
ビスケットというプログラミング言語の開発と普及にまつわる基調講演は、単なるプログラミング教育にとどまらずコンピュータとのつきあい方そのものを、学習者のみならず視聴者にも考えさせるような内容でした。子どもたちの試行錯誤を再現するデモを通して、会場から笑いが起こる一幕もありました。
AIを用いて要求仕様書を生成するモデル生成器の実現を試みた研究にまつわる受賞講演では、ChatGPTによる文章生成と要約のプロセスを繰り返すことで、あたかも人間が会議を通して機能要求や非機能要求からシステムを設計するのを再現しようとする試みが図解されました。
若手研究者による講演では、弊社で開発しているGyazoとかなり近しい問題を扱った研究領域があることや、個人的に関心のある音楽理論に取り組む研究者がいることを知ることができ、研究仲間が増えたようで心の励みになりました。

プロダクト開発とドッグフーディング

弊社でもプロダクト・個人開発の双方で研究開発が行われています。そうした成果を発表する上での一つのハードルは、成果物をどのようにして実験し、数量的に評価するかという点にあると考えています。今回さまざまなソフトウェアの研究発表を目にしたり、講演論文に目を通すなかで、こう検証すればいいのかというヒントが得られたような気がします。
また、開発者である私自身は聴講に際しても弊社プロダクトをドッグフーディングしていました。オンラインとのハイブリッド開催であることを生かし、手元のウェブ会議アプリでスクリーンショットを撮りつつ適宜メモを手書きし、都度Gyazoにアップロードする方式を試してみたところ、後の整理に便利であることがわかりました。会期中のこうした発見を、今後のプロダクト開発にも生かしていきます。

まとめ

日本ソフトウェア科学会第40回大会に、協賛スポンサーの招待枠として参加しました。
企業として学会活動に貢献するとともに、メンバー個人としてもソフトウェア開発の最先端の試みに関する知見を持ち帰れてよかったと感じています。
取り扱われているトピックが非常に広く、私自身の理解が及ばない分野も多かったですが、収集した発表資料やアイデアとともに時間をかけて消化し、将来実用に至ったときの開発に役立てたいと思っています。

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