こんにちは。株式会社Helpfeel テクニカルライターのmiyabaraと申します。
自己紹介▷深夜徘徊していたらテクニカルライターになった話
突然ですが、想像してください。
あるとき、あなたが所属する部署に中途社員「Aさん」が入社しました。
Aさんは、あなたより年下ですが、ユニークかつ知見豊富なキャリアを積み重ねてきたようです。明るい笑顔を挟みながらも会話の端々から伝わる聡明さや冷静な物言いは、早くも頼もしさがあります。
つまり、スーパー優秀人材が新加入してきたのです。想像するだけでもワクワクしますね。
このAさん、実は当社に存在しています。Aさんのような方に入社していただき、同じチームで働けることが、個人的にも本当に嬉しく思います。
でも、入社直後に大きな問題がひとつ起こりました。
ーーー Aさんのバディ役(教育係)を「圧倒的仕事できないマン」の僕が担当することになったのです。
DANGER!
本記事は、謙遜でも冗談でもなく「圧倒的仕事できないマン」を自負する著者がバディ役の際に取った、姑息な行動を赤裸々に紹介しております。
そのため、「めっちゃ仕事できるマン」は言わずもがな「普通に仕事できるマン」の方も、まるで参考にならないことご了承ください。
想定読者は以下の通りです。
・自分に自信が無い方
・人の話が早口に聞こえて、1回では内容を理解できない方
・何事にもレスポンスのスピードが遅い方
・「仕事は人に教えるものじゃない。教わるものだ」という方
・「仕事できないマン」というフレーズに親しみを感じてしまった方
目次
・テクニカルライターチームのオンボーディングとバディ制度
・姑息なバディテクニック4選
・現在のAさん
テクニカルライターチームのオンボーディングとバディ制度
ここでは、僕が所属するサービス部テクニカルライター(以下、TW)チームで行っている「オンボーディング」と「バディ制度」の概要についてお伝えします。
オンボーディング
TWの場合、入社からおよそ2〜3ヶ月をオンボーディング期間として考えています。進捗によって多少の違いはありますが、大まかな目安としては以下の通りです。
・1ヶ月目:業務に関する学習
・2ヶ月目:案件業務(1件目)
・3ヶ月目:案件業務(2件目)
パソコンのセットアップなど作業環境が準備できたら、当社提供のナレッジ共有ツール『Scrapbox』に整理されているTW用「オンボーディングアクション」に沿って取り組んでいきます。利用するツールの解説といった基礎知識から実務ノウハウまで、案件業務に必要な知識を学んでいきます。
2週間〜1ヶ月ほどで学習を一通り終えたら、TWの主業務である、検索SaaS『Helpfeel』の案件業務に入ります。
当社はフルリモート・フルフレックスという勤務形態です。その環境で入社から2〜3ヶ月続くオンボーディング期間を順調に過ごせるようサポートするのが、「バディ制度」です。
バディ制度
TWチームでは、新メンバー1名に対して既存メンバー1名をバディとして設定しています。
バディ期間の目安はオンボーディング期間と同じく入社から2〜3ヶ月ほどです。
バディの役割は主に2つです。
・バディ定例ミーティングの実施
・案件業務のレビュー
バディ期間中は週に1回、30分〜1時間ほどの「バディ定例ミーティング(以下「バディ定例」という)」を継続します。このバディ定例で、質疑応答を中心にコミュニケーションを重ねていきます。
また、案件業務の段階に入ったら、バディ役は新メンバーのライティングをレビュー(添削)します。新メンバーはレビュー内容を参考に業務・ノウハウの理解を深めていきます。
では、次から本題の「バディ担当時に実践した姑息テクニック」のご紹介に入ります!
姑息なバディテクニック4選
Aさんの入社初日。バディとの顔合わせということで、1on1で話す時間がありました。
冒頭に事務的な話をするなか、僕の心のスカウターがAさんの能力を測定したところ、数値の上昇に追いつかず、ボンッ!と爆発したのです。Oh! The scouter in my heart is broken.
ものの数分でAさんの「格上」感を感じ取ると同時に畏怖した僕。Aさんのバディ役遂行のため、以下のテクニックを披露する決意を固めました。
1.自分のキャラ・立ち位置を明確に宣言する
2.リスペクトの気持ちを忘れない
3.「Aさんにだから言いますが……」の脚本作り
4.バディ期間の終わりに「あるべき関係」になる
1.自分のキャラ・立ち位置を明確に宣言する
何事も、最初が肝心です。
バディ役とはなにか?そして、自分とはどういう人間なのか?
これをAさんには早々に理解してもらうことが大事です。
そのため、初日の1on1では、Aさんに次の通り話しました。
①「Aさん。しょっぱなから謝らなければならないことがあります。バディ役をやらせてもらいますが、正直にいいますと、仕事について僕はまだまだわからないことだらけです。なので、とても頼りないバディだと思います。本当に申し訳なく思っています」
②「ですから、Aさんのオンボーディング期間を通じて、僕自身まだ理解していないことを一緒に勉強させてください」
③「その代わり、僕が理解していることは可能な限りお伝えしたいですし、Aさんの疑問や不安が解消できるよう頑張りますので、よろしくお願いします」
Aさんにはただの挨拶と受け取られたかもしれません。
しかし、要約すると、以下の内容になります。
①すんません、自分は「仕事できないマン」なんですわ、へへ。残念でしたね。
②だから、決して「指導役」ではありません。あなたと同じ立場です。誤解しないでね?
③でも、まぁ僕なりに頑張るので、よろしくイェーイ!
初手で、高らかに「僕」というものを宣言したのです。
繰り返しますが、最初が肝心です。
間違っても、緊張から「スカした感じで、先輩面をする」「メンター的な雰囲気を出す」ようなミスはしないよう注意しましょう。あとあと、自分の首を絞めることになります。
あくまでも、「一緒に頑張る同志」的な立ち位置を目指して振る舞いましょう。
2.リスペクトの気持ちを忘れない
僕がバディ期間中、肝に銘じていたことがあります。それは、「バディ役を履き違えてはいけない」ということです。決して先輩面をしてはいけません。たまたまAさんより先に入社していただけなのです。そのため、Aさんと接する際には「貴重なお時間をいただいている」という意識を忘れないように努めました。
先にも挙げた通り、バディ定例では、質疑応答が中心となります。しかし、突然投げられたAさんからの質問・疑問をパコーン!と綺麗に打ち返せるでしょうか?
いやいや。無理よ。「圧倒的仕事できないマン」ですよ?
そんなのアワアワして30分経ってしまうに決まっているじゃないですか。目の前で職場のおじさんが30分間アワアワしてる姿を見せつけられるAさん。地獄かって。
そこでAさんには「バディ定例の前日までに、共有ページに質問を記述しておいてください」とお願いしました。前日までに投げられた質問であれば、なんとか必死こいて回答を準備できます。
それでも、ミーティング中に追加の質問がリアルタイムで投げられることがありました。
大抵は(いや、この僕が知るはずないだろ。知識の無さ、舐めんな)とAさんに憤慨する内容なので、以下の2パターンを擦り切れるほど使い回しました。
①「多分〜〜だと思うんですけど、ちょっと自信ないので、このあとすぐ、この件について詳しい◯◯さんに確認しますね!すみません!」
②「すみません!これは完全にわからないので、チームミーティングで皆さんに聞いてみますね!」
Aさんが知りたいのは質問に対する答えです。うにゃうにゃ言い訳せず、わからないことはわからないと即答&断言し、対応案を伝えて終わりにしましょう。
その後は、せめてものお詫びとして以下のように対応しました。
・「この件は、どの部門の誰が担当か or 知っていそうか」をAさんに伝える
・僕自身が情報収集する
バディ役が始まって3週目には、早くも僕の知識・理解力を限界突破した質問ばかりAさんから投げられるようになりました。そのため、上記のセリフを連呼して逃げ回りました。
質疑応答を重ねるたびに、Aさんからの信頼を失っていく感覚。悪い意味で非常にゾクゾクします。シンプルに言って、絶望です。
ただ、「自分で対処できないことは他の詳しい人を頼って解決する」という姿勢は間違いではありません。なぜなら僕は「圧倒的仕事できないマン」。ひとりで抱えて解決しようとするのは悪手です。
頼り頼られ、助け助け合う。その一連の様子から「この会社には、頼れる人がこんなにいるんだ」とAさんに知ってもらうのも、ある意味オンボーディングかもしれません。
3.「Aさんにだから言いますが……」の脚本作り
1対1で行うバディ定例。醍醐味は、給湯室のように色々な話ができることです。
「圧倒的仕事できないマン」であっても、入社直後のAさんが知らない情報や経験があるものです。
例えば、僕自身が入社からこれまでに経験した不安や悩み、失敗談。
大手を振って言えることではないですが、バディ役としては「アリ」になります。
「ここだけの話ですが」「誰にも言っていないのですが…」と前置きしたうえで、「入社直後のネガティブあるある」を先にポロッと言うようにしていました。
この場合に注意する点は、「Aさんにだからこそ、話しますけど・・・」と、レア感の含みを持たせることです。この積み重ねにより、Aさんが思ったことを、より言いやすく・さらけ出しやすくなる効果につながる気がします。
そのほかにも、これまでお世話になった社内の方たちのポジティブなエピソードも伝えていました。
ただし、個人的にこのフェーズに入るのは、バディ期間の中盤以降が望ましいと思い、2〜3ヶ月目に入るまで我慢していました。
関係性が出来上がる前にこういった話をするのは、「どうでもいい話が長いウザいおじさん」と受け取られるのを恐れたからです。そのため、序盤はAさんが寄せる疑問・質問の解決に注力しました。
4.バディ期間の終わりに「あるべき関係」になる
「1.自分のキャラ・立ち位置を明確に宣言する」で、「最初が肝心」とお伝えしました。しかし、最初と同じくらい、最後も肝心です。
Aさんとのバディ期間が終了した3ヶ月目。最後のバディ定例で、次のような挨拶をしました。
①「Aさん、これまで僕の頼りないバディっぷりのせいで、ご迷惑をおかけしたりイライラを募らせてしまっていたかと思います。ごめんなさい。でもAさんのバディ役になれて、本当に良かったです。ありがとうございました」
②「今までは、形式上Aさんから質問をいただきましたが、これからは逆に僕から相談させてもらう機会がどんどん増えていくかと思いますがよろしくお願いします」
③「Aさんは、現時点ですでに僕なんかより遥かに案件処理能力が長けていますし、僕が言うのもおこがましいくらい、とても優秀です」
④「ですが、もし何かあって僕に言えることであれば、いつでも言ってください。僕はいつでも話してもらえれば『はい、喜んでー!』なので」
要約すると、以下の内容になります。
①色々あったけど、とりあえずマジごめんね〜!でも、あんがとね〜!!
②悪いんだけど、これからはどんどん頼っちゃいます!
③だって、Aさんは本当にすごいから。いや、本当に。
④代わりと言ってはなんだけど、雑談程度だったらいつでも喜んでしますから!
「『圧倒的仕事できないマン』がバディ役を行う」という異常事態が、無事終焉を迎えるときは、きちんと「あるべき関係」へと戻っていきましょう。
間違っても、バディ役という仮初(かりそめ)の姿を引きずってはいけません。
現在のAさん
僕が入社した際のバディ役は、現TWチームリーダーが担当でした。僕が投げる雑な質問に対する、スピーディーかつ正確無比で簡潔明瞭な回答はChatGPTを遥かに上回るものでした。
その圧倒的なバディっぷりを肌で感じた僕は、バディ定例後に天井を仰ぎながら「This guy is the perfect buddy…」と呟いたものです。
Aさんのバディ役が決まったとき、当時を思い出しながら、悩みました。そして、「残念ながら、現時点の僕にはリーダーのようなバディ役は真似できない」という諦めのなか、僕なりの対策として考えたのが、今回の内容です。
果たして、これがよかったのかどうか分かりませんが、Aさんは案件業務に入るとTWチームで重要視する指標でトップ10以内を早々に記録し、想像通りの活躍を見せながら現在に至ります。
2023年12月現在、TWチームは15名ですが、僕以外の全員がもれなく優秀です。こっわ。
そのため、僕以外であれば誰がバディ役を担っても、まったく問題ない隙のない布陣。にも関わらず、低い確率でmiyabaraとバディを組んでしまったことは不幸としか言えません。
そんなAさんも、いまではご自身が優秀な新メンバーのバディ役として日々頑張っています。是非ともAさんには僕を反面教師として、素晴らしいバディ期間を遂行していただければと思っております。
さて、そういった感じで増員し続けているTWチームでは、2024年度から一緒に働いていただける新メンバーを大募集しております。
カジュアル面談も実施していますので、
・もし入社するとしたら、バディはmiyabara以外を指名できるか?
・そもそも、なぜmiyabaraは入社できたのか?
など、TWメンバー全員がうっかり「ですよね〜」と言ってしまうご質問を投げていただければ幸いです。